英文和訳課題1 (Molecular
Cloning: A Laboratory Manual より引用)
製薬会社からキットが発売されているが、基本的な実験を理解することにします。
DNAの単離方法の一例(アルカリSDS 法(アルカリミニプレップ法、アルカリ溶解法ともいう))を紹介します。
この方法は、少量の大腸菌(形質転換大腸菌)から迅速に目的のプラスミド(組み換え体プラスミド)DNAを単離する方法です。
少量の大腸菌培養液(1~2 mL)からプラスミドを回収することができます。
アルカリ-SDSは、大腸菌の細胞壁とともに大腸菌染色体DNAを除去してプラスミドDNAのみが得られます。
SDSとは、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulphate)のことです。界面活性剤(surfactant)との1つです。界面活性剤とは、液体に溶けて表面張力を著しく低下させる作用をもつ物質のことです。つまり、汚れを落とす洗剤のようなものです。
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、陰イオン界面活性剤と呼ばれるものの1つです。タンパク質を変性(denature)させる作用が強いです(変性とは、例えば、卵をゆで卵にするようなものです)。この作用を利用してSDSを用いたポリアクリルアミドゲル電気泳動は、タンパク質の分子量を簡便に推定する方法として広く用いられていています(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
SDS-polyacrylamide gel electrophoresis)。電気泳動については「エッセンシャル細胞の生物学」等の教科書にも説明されていますが、後で説明します。
特許翻訳で気になるのは、どの程度、カタカナで表現するか、漢字にしたほうがいいのかということでしょう。その点は、特許庁の「標準技術集」を見れば、何となくわかると思います。
特許庁の標準技術集
標準技術集(核酸の増幅および検出)データベース:鋳型DNAの調製
を表現の参考にすること。
その他:じっけんレシピ - Sigma-Aldrich
http://www.sigmaaldrich.com/japan/ordering/technical-service.html
http://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/SAJ/Brochure/1/j_recipedna.pdf
you tube にDNA抽出関連の映像が多く挙げられています。
PREPARATION OF PLASMID DNA BY ALKALINE
LYSIS WITH SDS: MINIPREPARATION
SDSを用いたアルカリ溶解によるプラスミドの調製:ミニプレパレーション
minipreparation 少量調製、ミニプレパレーション、ミニプレップ
Preparation of cells
細胞の調製
1. Inoculate 2 ml of rich medium (LB, YT,
or Terrific Broth) containing the appropriate antibiotic with a single colony
of transformed bacteria. Incubate the
culture overnight 37oC with vigorous shaking.
(Aさんの訳)適切な抗生物質を含む富栄養培地(LB、YT、またはテリフィックブロス(Terrific Broth 、TB培地)2mlに形質転換菌の単一コロニー(単集落)を接種する。この培地(培養物)を激しく振とうしながら37℃で一晩インキュベートする(37℃で一晩激しく振盪培養する)。
To ensure that the culture is adequately
aerated:
- The volume of the culture tube should be
at least four times greater than the volume of the bacterial culture.
(Aさんの訳)× 見直し、培養物に対する十分な通気を確実にするために、培地の量を細菌培養物の量よりも少なくとも4倍を上回ること。
volume の訳に注意。 量、体積、容積、数量 etc.
- The tube should be loosely capped.
- The culture should be incubated with
vigorous agitation.
(Aさんの訳)チューブにキャップを緩く嵌めること、
培養物を強く撹拌しながらインキュベートすること。
2. Pour 1.5 ml of the culture into a
microfuge tube. Centrifuge at maximum
speed for 30 seconds at 4 oC in a microfuge. Store the unused portion of the original
culture at 4 oC.
(Aさんの訳)培養物1.5mlを微量遠心管(マイクロチューブ)に注ぎ入れること(入れること)。マイクロ遠心機で、4℃、30秒間最高速度で遠心分離する。 原培養物の未使用部分を4℃で保管する。
pour は、「~を(~に)つぐ[注ぐ, あける, 注ぎ込む]〈into, in〉」ことですが、そのまま「入れる」でよいと思います。
特許明細書では、microfuge
tube をそのまま「微量遠心管」と訳される場合が多いですが、所謂「マイクロチューブ」のことです。
3. When centrifugation is complete, remove
the medium by aspiration, leaving the bacterial pellet as dry as possible.
(Aさんの訳)遠心分離が完了したら、吸引によって培地を除去し、細菌ペレットをできるだけ乾燥したままにする。
Lysis of cells (略)
次回以降に説明。
Recovery of plasmid DNA (略)
プラスミドDNAの回収
次回以降に説明。
和文英訳課題1 (次回)
DNAのエタノール沈殿
1. 1.5 mlのチューブにDNA養液を入れて塩濃度を調整し(酢酸ナトリウム:0.3M(pH5.2)、塩化ナトリウム:0.2M、
酢酸アンモニウム:2.0〜2.4M)、全体を400μlとする。
2. 溶液の2倍量(800μl)のエタノールを加え、よく混合した後、冷凍庫(−20℃)で1時間放置する。
3. 微量高速遠心機を用いて、0℃、13,000rpmで30分間遠心する。
4. 上澄を取り除く(最初はデカンテーションで除き、底に残った液はペレットに触れないように注意しながらチップで除く)。
5. 氷上(4℃)に冷やしておいた70%エタノールをチューブの半分量(750μl)加えて、0℃、1,300rpmで2分間遠心する。
6. 上記4と同様の方法で、上澄を取り除く。
7. 遠心エバポレータを用いて、40℃で10分間ペレットを乾燥させる。
8. TE緩衝液(pH8.0)でペレットを溶解する。