医学系の翻訳講座には、解剖学や生理学、細胞生物学の教科書が使われる講座が複数あります。
しかし、現場では教科書なんて必要ではありません。
ネットで調べれば十分。
そんなことを言えるのは、既に科学の素養を身につけた方でしょう。
文系の人は、せっかく学習するなら、誰かの指導のもとで、
内容をまとめて説明してもらったり、重要なところを指摘してもらいながら、
教科書の一冊ぐらい、読んでおいたほうがいいように思います。
なぜ、教科書を読むか?
実際の翻訳現場では無関係ことも多く含まれます。
しかし、特定の技術だけをつまみ食いするのではなく、教科書を読むって大事です。
もちろん、覚えるためではありません。
特定の技術を含む学問全体の流れを大まかに「感じる」ためです。
その学問の言葉の大海を肌で感じるためです。
学問は歴史であり哲学です。教科書は学問の歴史書であり哲学書です。
1つの教科書を幹とし、その幹を飾る枝葉として他の教科書や論文、中高参考書、入門書等に触れる。
そんな時期が半年や1年、あってもいいように思います。
特許翻訳は奥深いものです。
つまみ食い的な学習で特許翻訳ができると感じるようでは、まだ初心者です。
翻訳の際、大きな落とし穴に落ちいる可能性があります。
落とし穴に落ちて気がついてください。
とりあえず、小さな落とし穴の例を挙げます。
英語に自信がある文系翻訳者であって教科書を一通り学んでいない翻訳者に見られるミスの例
遺伝子変異に関する基本的な用語の訳にミスが見られます。
deletion, insertion, substitution, duplication
これらの単語は、それぞれ塩基の欠失、挿入、置換、重複 を意味しています。
簡単な単語なので、そのまま単語に関する知識に基づいて、
使用されている背景や意味を考えずに訳しています。
教科書に出てくる基本的な表現を誤ると、
「畑違いの人が翻訳しているな」とすぐ見破られます。
急がば回れです。
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ILC国際語学センター(東京校)(http://www.ilc-japan.com/tokyo/)の特許翻訳勉強会(OB等による自由参加の勉強会)一参加者のブログです。
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